膝痛の本当の原因とセルフケア
膝の構造と、膝痛のホントの原因
正常な 膝の構造について
膝痛の本当の原因を知る前に、膝の構造を少しお話します。
半月板は上下の骨のかみ合わせのクッション。
靭帯は上下の骨がずれない様に強く連結するもの。
そして膝関節面は光沢があってツルツルした軟骨で覆われています。
曲げ伸ばし出来るのは、ひとつには軟骨のお陰とも言えます。
軟骨の成分の約70%は水分(関節液)で、体重が乗ると染み出して保護する働きになっています。
軟骨がすり減ったら、膝痛になるのかと言えば、必ずそうじゃないということです。
ただし、中高年の膝関節のレントゲンでは
女性の75%、男性でも50%に、軟骨の異常がみられると言われています。
登山という、膝に負荷のかかる趣味をしていれば、なおさらのことでしょう。
軟骨がすり減って痛むって本当・・・?
つぎは、骨と軟骨の違いについてです。
骨折をした骨は、つながって治ります。
骨折をしたら、激痛を伴うでしょう。
では、すり減った軟骨はどうでしょうか?
軟骨は、再生しないと考えられます。
軟骨自体は、痛みを感じません。
そもそも軟骨には血管が分布していないのです。
- 軟骨がすり減ったら、膝痛になるのかと言えば、必ずそうじゃないということです。
- 軟骨がすり減ったり膝関節の変形が始まっても、痛くない人も一定数いる。
- 軟骨自体は痛みを感じない。
- すり減った軟骨は再生しない。
膝痛のホントの正体
軟骨がすり減ったときに出来る、軟骨のカケラ。
そのカケラが浮遊して関節包の内側を刺激すると、炎症がおこります。
登山での長引く痛みの多くは、
関節包に炎症が起こって痛いのだ
というのが私の実感です。
繰り返し炎症がおこると、関節包は柔軟性を失い硬くなります。
それはそれでまた、登山での膝痛につながってきます。
炎症って何でしょう?
痛めた細胞や組織を修復し快復させるための、体の自然な反応。
毛細血管が増える ➡ 血流が増える ➡ 痛めた細胞や組織が修復 ➡ 治癒
ケガをした時に、最初に腫れて、熱を持って痛かった経験があると思いますが、それが炎症です。
本来の炎症とは違う
勘違いの炎症がある
【勘違い炎症】
必要がないのに、いつまでもひつこく居座り続ける炎症のことを、勘違い炎症 と名付けてみました。
勘違い炎症による、毛細血管と血流の増加を抑えるのが、痛みの軽減策だと考えます。
もちろん、炎症は関節包の外でも起こります。
よく起こる場所は、負荷のかかりやすい筋肉や筋肉の付着部付近になります。
英語では Over Use Syndrome と言って、使い過ぎ症候群と訳されます。
登山らしいと言われればそうですね(>_<)
それぞれの場面でのケアーの仕方
炎症による痛みがひどいときはアイシング
(注意)凍傷にならない様に注意してください!
軟骨に栄養を届ける軽度の運動
椅子に座って膝の曲げ伸ばしをしてください。
ここでの目的は、軟骨の栄養である
関節液を軟骨に届けること。
それと、関節包の柔軟性の確保です。
体重の負荷をかけてはいけません。
目的が違ってきますから。
登山中の膝痛の対処法
- 膝サポーター
- 圧迫
- アイシング(沢の水)
- ダブルストック
- 多機能タイ ツ
- テーピング
などが考えられますね
お勧めのサポーターと使い方のポイント
炎症の、最も起こりやすいポイントが、二か所あります。
大腿四頭筋腱と、膝蓋じん帯です【膝蓋骨の上下】
この二か所を、上下のベルトでしっかりと、圧迫してください。
強さは、痛くない程度に・・・でも、しっかり圧迫です!
歩いているうちに緩んだ場合は締めなおしてください。
ズボンやタイツの上から着けましょう。
★登山にお勧めの膝サポーター
内側広筋のエクササイズ
膝関節の安定
関節包の柔軟性の回復
内側広筋は大腿四頭筋のなかにある筋肉で、膝関節を安定させます。
大腿四頭筋のエクササイズ
大腿四頭筋を鍛えると同時に、体幹にも効果があります。
これ、けっこうキツイです
最後に、皆さんへの心からのメッセージです。
■長引く膝痛の原因の80%は、勘違い炎症だと思います。
■徹底したアイシングで、リカバリーしてください。
■下山後のお風呂は登山の楽しみのひとつですが、湯船に入る前に必ず膝に冷水をかけてください。
■休憩のときは、先にストレッチをしてから、水分補給や行動食をとりましょう。
皆さんの、登山での膝痛対策のお役に立てることを願っています。